英国人デザイナーが教えるアルファベットのひみつ
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    ちょっと変わった本  レイアウトの関係から電子版より紙版をお勧めします。

    日本やイギリスで活躍しているイギリス人グラフィックデザイナーが英語のアルファベットの一文字一文字のイメージについて書いている本。

    日本語訳の人がわざわざ日本人向けに書いたのかと思うほど、日本語を使う人(英語やアルファベットを使わない人々)に親切な説明があって非常に面白い。

    実はフォントの持つイメージについて書いてあるかな、という期待で買ったので、期待外れといえばハズレなのだけど、文字そのものの持つイメージというまさか表音文字のアルファベットにそんなものはないだろうと思っていたことについて詳しく書いてあったので、驚きの一冊。

    英語を日常使いしている人、もしくは英語が苦手な人にこそ読んでほしい。
    前者は「あー、なるほど」と膝を打ちつつ、ネイティブの無意識の印象を言葉にして得られるだろうし、
    後者は書かれている英単語(カタカナの発音の仕方も、意味もなく、ただ英単語が日本語の文章の中に入っているが、いちいち辞書を引いて意味を調べることに意義がある)を通じて、アルファベットのイメージをつかんでいくことで興味が得られるかもしれない。
    または、ちょっとしたチャレンジャーなら「同じアルファベットで始まる、まったく反対の意味の言葉がある」と反論してみるのもいいかもしれない。

    ちなみに私の好きな英語フォントはConstantiaとGeorgianで嫌いなというか読めないフォントは「Gigi」。なくしてほしい日本語フォントは「明朝」で好きなフォントは「教科書体」と「隷書体」だけど、最近はUD(ユニバーサルデザイン)を使うようにしている。

    歌舞伎風は日本語ネイティブでも読み難いけど、デザインとしては秀逸だと思う。

    カテゴリ:本棚 | 00:37 | comments(0) | - | - |
    「ナラタージュ」
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      島本理生の2005年の小説

      耳で聞いただけ、カタカナだけではどうしても正しくタイトルを覚えられなかったのだけど、本に由来が書いてあって、やっと覚えられた。「ナレーション」と同源ってことね。

      良くも悪くも島本理生らしい登場人物であり展開。
      本が好きでおとなしそうだけど突飛なことをする、一人暮らしの女子大生。
      絶望を背負いつつ、抜き差しならぬ事情で女にからめとられている年の離れた男。
      「それ、性犯罪!DV!」と突っ込みたくなる同年代の彼氏。

      良くも悪くもベタベタの現代日本文化。

      それでもこの作品が今まで読んだ中で一番面白いと思えたのは、相手役の男たちの弱さの理由が描かれていること。

      それと主人公の親友は「恋人同士であっても一回一回、性交渉の前にはきちんと同意すべき」ととってつけたように言うのだけど、言わせるだけでも評価する。

      この小説は2017年には松本潤と有村架純で映画化もされている
      映画は見てないが、二人の顔はよく知っているので、本を読んでいるといつの間にか頭の中の映像に二人が出演し、小説を読み終わった時点で、映画まで見た気になった、一石二鳥の本だった。
      でも映画の予告を見たらどうやら原作通りではないらしい。
      年上の男の弱いところが、当時の彼のスキャンダルと相まって納得がいく。あぁ、潤君、そうやって…いや、もう言うまい。本当かどうかはわからない噂だし。

      最近JSTVで放送された「VS嵐」が
      「先生!好きになってもいいですか」という映画 の番宣の回だった。プラスワンゲストはブルゾンちえみwith B。生田斗真が広瀬すずの世界史の先生役だったことから先生つながり(小説版「ナラタージュ」の教師は世界史だったが、潤君は「社会科の先生」と言っていた。映画は違うのか?)で、
      そこに「先に生まれただけの僕」 で校長先生役をした櫻井翔が入り、ブルゾンちえみwith B の真似をしていたのが面白かった。

      閑話休題。

      個人的には教師と生徒なんて片思いが一番だと思う。教師はあくまでも教師として一線を越えるべきではないし、生徒は教師の気持ちを裏切るべきだと思う。それを小説の「ナラタージュ」では「教師の恩なんか、買うだけ買って、踏み倒せばいいんだ」と表現している。この表現はさすがだな、と思った。

      もちろん、教師も人間だから基本的人権はあるし、人を好きになる自由は保障されている。教師を聖職者だと美化するつもりもない。しかし、おおよそ、教師を好きになる生徒はその先生に大人の恋人や好きな人ができたら、圧倒的に不利なのだ。
      例えば「ごめんね青春!」 という学園ドラマは錦戸亮と満島ひかりが教師役で出ていて、それぞれに告白する生徒たちがいるのだが、教師同士がカップルとなる。
      生徒、どう頑張っても無理。
      普通、生徒が相手なら(表向きだけでも)卒業するまでは何もできないが、大人同士なら好きになったその瞬間から次のステップに進める。これは強い。

      一方、数多あるプロの妄想と違い、現実の生徒たちもすぐに教師と付き合うなんてできないが、生徒同士ならほぼノープロブレム。仮に大人であっても学校(や塾など)で出会っていなければ、付き合うというハードルは教師よりは低い。

      そして生徒たちには輝かしい未来がある。基本、教師よりも長い未来とたくさんの可能性がある。出会いもある。
      彼らはすぐに卒業して、新しい世界に飛び込み、新しい出会いを得る。その時に、もしかしたら好きだった教師を基準にして恋の相手を選んだり、選ばれたりして、新しい世界になじんでいくだろう。何回か失恋して、それでもまだ先生のことを忘れられなければ、連絡を取ってみればいいだろう。

      だいたいその頃までに、新しい世界に行った生徒が変わったのはもちろん、教師の方も何百人という新しい生徒と向き合っているので、当時とは違う雰囲気を醸し出すだろう。

      そこだ。

      その違和感こそが二人の幻想のほころびなのだ。

      だから、教師と生徒は創作の中でぐちゃぐちゃになればいい。
      そういう意味でこの小説はとても面白かった。
      カテゴリ:本棚 | 04:43 | comments(0) | - | - |
      窮鼠はチーズの夢を見る
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        もう撮影は終わったそうなのですが、公開は2020年


        どこかで聞いたことのあるストーリー、と思ったら原作があり、当然、その原作漫画を  読んでいました。

        あいにく、絵が好みではなかったのですが、話にリアリティがあって、ストーリーは申し分なし、とメモしてあった。

        会話がいいんだよね。

        そして、映画ではそのセリフがあるのかどうかわからないけど、テニス選手のファン・カルロス・フェレーロの名前が出てくるシーンがあるんだよ。
        彼は1998年デビュー、2012年に引退したスペインのテニス選手。2003年の全仏オープン男子シングルの優勝者。甘いマスクで長身だけど細身。

        実写映画には同じくらい甘いマスクで長身細身の大倉くんが出てくるから、それで充分でございます。成田凌、賛否両論あるけど、私は好き。なので、2020年、楽しみにしています。


        ところで、大伴恭一の妻役は誰なの?

        カテゴリ:本棚 | 04:42 | comments(0) | - | - |
        【映画】Chesil beach
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          邦題「追想」 平成が終わった直後の5月10日にDVDが発売されます。


          ひと言でいうと、とにかくイギリス映画らしい、淡々とした作品。

          「つぐない」の脚本を書いたイアン・マキューアンと、それにキーラ・ナイトレイの妹役で出ていたシアーシャ・ローナンのコンビ作品その2。

          1962年の新婚カップルの初夜が描かれている。
          時代は変われど、イギリスらしさが随所にちりばめられていて、ところどころウトウトするのも計算済みなのではないだろうか、と思うほど淡々と進んでいく。

          ストーリーの進み方も笑いさえも静かで、過去を思い出す場面などはどうしていいかわからなくなるほどの切なさ、無力さを感じてしまう。これこそイギリスの真骨頂。

          ちなみにChesilとは「かんな」のこと。 「チズル」と発音する。

          イギリス南西部のドーセット地方にある細長い石浜の名前でもある。
          握りこぶし大ぐらいの石がゴロゴロしているビーチなので、靴をはいていても歩くのに一苦労する。新婚旅行ではなかったけど、私が行った日も、とても天気がよく、風が強かった。安定のイギリス・クオリティ。
          カテゴリ:本棚 | 04:02 | comments(0) | - | - |
          デューク
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            江國香織の短編集「つめたいよるに」  収録の作品。

            昭和の終わりか平成の初め頃を舞台にした作品なのだが、主人公がバイトを休むと電話を入れるために公衆電話を使うぐらいで、ほとんど違和感がない。

            主人公は21才の女の子で、子どもの頃から飼っていた愛犬を前日に亡くしたばかり。
            それでもバイトにいかなければならず、泣きながら電車に乗ったところ、19才位の男の子に席を譲られ、それを機にお茶をして、プールや美術館に行ったり、落語を聞いて一日の終わりにその愛犬、デュークときちんとお別れするという話なのだが、今、これを書いていても泣けてくる。

            姫が来てくれないのは、やはり子犬(猫)の頃から一緒に過ごしていないからだろうかとか、せいせいしているからだろうか、とか考えてがっかりする反面、最期の瞬間まで側にいて声をかけたり、撫でたりしていたから、安心してこの世を去れたから出てこないのではないだろうかと無理無理納得しようとしている。

            あー、でも、もしかしたら出てきてるけど、気がつかないだけなのかなぁ。
            毛皮を着替えて元のお世話係のところに来ても、最初のうちは分からないというからなぁ。
            そういえば、主人公も最後のページまで青年がデュークだと確信が持てなかったから、案外当事者は気がつかないのかもしれない。

            そんなことを考えながら、もう一度読んで、また泣くのだ。
            カテゴリ:本棚 | 01:34 | comments(0) | - | - |
            Disobedience(映画)
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              日本では公開未定の作品なので、今日のリンクはアマゾンUKに飛びます。

              日本ではもちろん、イギリスでも「部外者」には縁のないユダヤ人のコミュニティーを描いた作品。原作はナオミ・アルダーマンという人が書いた本  

              主演のレイチェル・ワイズはNYで成功した写真家。故郷を捨てるように出て以来、家族のいるユダヤ人のコミュニティーとは絶縁状態だったが、ユダヤ教の師である父の訃報で地元に帰ってきた。そこで再会したのが元恋人の女性。彼女は結婚しておりユダヤ学校の教師としてコミュニティーの中で着実に生活していた。
              伝統的な生き方以外は認められず、同性愛関係、それも女性同士はもっと受け入れられ難いというのは想像に難くないが、それがイエス・キリストの誕生前からの生活の決まりを脈々と保っているユダヤ教社会であるとなると、一体どれだけの縛りがあるのだろうかと映画を見ながらずっと考えていた。 

              ロケ地がユダヤ人の多く住むロンドン北部というよく見知った地域なので、このスーパー行ったことある、この地下鉄の路線乗ったことある、この地下道はあの駅に続く道!と楽しみもあったのが救い。そしてこの後どうなるんだろう?としばらく反芻できる、含みのあるエンディングが私好み。ユダヤ映画、なんか好きだわー。
              カテゴリ:本棚 | 03:58 | comments(0) | - | - |
              断捨離
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                「断捨離」の元祖、やましたひでこさんの本。

                これがなんと地元の図書館の日本語セクションにあったので、借りてみた。
                なるほど、よくある「身の回りのものを整理すると運気が上がる」とかそういうのは「断捨離」という考え方そのものがヨガから来ているから、そういう精神性にも言及してしまうのだろう。

                確かにモノを片付けて気分が良くなる、運気が上がると言われると頑張ってみようか、という人が多いのはわかる。

                一方そういう精神的なことを説かれると反発したくなる天邪鬼な私。

                そのせいだろうか、最近、急激にモノが増えている。
                でもそのほとんどは猫関連グッズで、例えば姫のためにいろいろと買い揃えたのだけど、殿一人だとそれほど必要ないので消費がゆっくりになってしまった在庫だったり、足腰の悪かった姫が少しでも快適に過ごせるようにと椅子や箱を組み合わせて作った猫家具だったり。殿はまだ使わないし、もしかしたら彼は一生使わないかもしれないのだけど、心の整理がついていないので、手放せないでいる。

                そういうものは時間薬でしか解決しないので、狭い家だと諦めてせめてゴミは増やさないように本も図書館で借りたり、電子書籍にしたりして帳尻を…なかなかあわないんだけどね。
                カテゴリ:本棚 | 03:34 | comments(0) | - | - |
                本:県庁おもてなし課
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                  軽快でとても面白かった。

                  ラノベ出身の人らしい。デビューは2003年。ゲーム系(?!)だが、2作目よりハードカバーでの出版。しかし本人は今でもラノベ作家というほど、ラノベにこだわりがある。
                  2013年には錦戸君と堀北真希で映画化もされている。

                  もちろん錦戸君が掛水史貴(ふみたか)で、堀北真希が明神多紀(みょうじん・たき)さん。吉門喬介が高良健吾。

                  そして高知県!なんだか面白いじゃないか!
                  行ってみたくなった。ジオパークもあるし。
                  で、サイトをみたら、どこまでが小説でどこまでがリアルかわからないサイトになっていた。すごいな、高知県!

                  本が出たときの有川さんのテレビインタビューがまたいい感じ。
                  基本、ほとんどあとがきと解説で書いていることと同じなんだけど、作家の生の声で聞くと説得力が増す。

                  いやー、それにしても配役を知ってから読むと、掛水が錦戸君とダブるわ〜(笑)
                  多紀ちゃんもなんとなくダブってる。

                  楽しい♪
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                  翻訳というお仕事
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                    英子の森」を書いた松田青子さんは翻訳者でもある。


                    彼女を初めて知ったのは2017年にBritish Library(大英図書館)で行われたJapan Nowというイベント。そこに翻訳者として登壇されていた。

                    そのつながりでこんな本を読んでみた。



                    翻訳や通訳を生業としている友人知人はかなりいるが、その中でも翻訳にスポットライトを当てていて、翻訳の中でも媒体や仕事の種類、働き方によって違いがあることが詳しく書かれていて興味深かった。

                    会社組織の中で翻訳として働く人の悩みと、フリーランスや自営業で働く人の悩みはそれぞれ違う。が、逆に翻訳者ではなくても会社で働いている人にはその悩みが、フリーや自営で働く人には、その苦労に共感できるに違いない。

                    彼らのぶつかった壁は現実に自分が直面しているか、もしくは近い将来似たようなものに遭遇すると考えて、あれば退避の仕方を、なければ打開策をちゃっかり流用させていただこうと思って読んだ。

                    ちょっと年上の人たちが異口同音に言っている「体が資本」、これに尽きるかもしれないけれど。
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                    英子の森
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                      主人公の英子は翻訳の仕事をしたいと思いつつ、その階段に足をかけられず、一歩手前で英語を使う派遣の仕事をしているアラサー。



                      母と二人で住む家は森の中にある。仕事の時だけ電車に乗って有楽町や銀座などの東京都内にやってくる。このファンタジー設定が理解できずに引っかかってしまう人が案外いるようだが、それはもったいない。もしファンタジーが苦手なら、森は例えばゴルフ場跡地のようなところにあるだと思ってほしい。都心までバスと電車を使えば出られるところにあり、数だって一つのゴルフ場で50ぐらいはできるから、英語を使って仕事をする人が、それぞれの森の中にある家に住んでいてもオッケー。

                      そんなことよりも、もっとしっかり見てほしい所がある。

                      「英語ができると言ったって、それぞれ千差万別であることを彼女は知らない。英語を知らない人は、英語がちょっとでもできる人だとすぐもう英語ができる人だと思う。どれぐらいの程度で英語のできる人なのかを見分けることができない。」(P.56)
                      これはまさにその通りで、だからこそ私たちノンネイティブは何十年英語圏に身を置いていても、常に知らない単語に巡り合うので、研鑽し続けなければいけない。それが非ネイティブの辛いところだ。
                      逆に言えば、日本語ができる人だって、それぞれ千差万別であって、挨拶ができればもう喋れると思う人、日本語で新聞を読み、メールを打ち、寝言を言うような人でも本人の自覚している必要性を満たしていなければ、まだまだだと思う人、どちらも「日本語ができる」だが、「どのように」できるかが違う。

                      そして英語教育産業の闇。これは、以前、イギリスで数カ月語学学校に通った人が日本で幼児向け英語教室の先生になったが、本のようにどんどん対象年齢が下がり、日本語もままならない子供に教えることになったので辞めたという私の聞いた話と似ている。きっと日本の社会は当時から何も変わっていないのだろう。

                      「それお守りじゃなくて呪いよ。私の言葉を呪いにしないで」
                      「言葉が呪いになる」とは「逃げるは恥だが役に立つ」を思い出す。

                       あー、この箱はすごい!ちなみにそのセリフは9巻。

                      呪いの呪縛を解き放ち、自分の森を構える英子。
                      頑張れ、と応援せずにはいられない。それは英子だけではなく、彼女と同じようにもがいているすべての登場人物に対して感じる、母のような、教師のような温かい気持ち。
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