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そこのみにて光輝く
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    佐藤泰志著。 1989年出版、第二回三島由紀夫賞候補。90年作者自死後、この作品を含め、全作品が絶版となるが2007年に作品集が発行されたのを機に再評価が進み、2014年4月には綾野剛と池脇千鶴で映画化 されている。

    舞台は函館。主人公佐藤(もしくは斉藤)達夫が11年勤めた造船所を30歳直前で辞め、パチンコ屋でライターをあげた大城拓児(27)と親しくなる。拓児は住んでいるバラックに達夫を招待し、姉、千夏(29)の作った炒飯を振舞ったことからどんどん大城一家とつきあうようになっていく。

    達夫は最初からずっと拓児に深入りしないように、しないように注意しているのだが、その想いとは裏腹にどんどんはまっていってしまう。まぁ、そういうことはよくある。生命保険会社の夫と結婚した達夫の妹からすれば達夫が身を持ち崩しているようで歯がゆいだろうが、千夏からすれば廃品回収業をしていた父親、収監された弟、売春もありのキャバレーでの水商売から足を洗えて、娘にも恵まれ、アパートを借りて車のある幸せな家庭を築いて、ある意味、玉の輿だったんじゃないだろうか?

    設定は明示されてはいないが昭和の中ごろではないだろうか。大規模なストライキや次々に大手企業に買収されていく地元企業、各地の再開発、土建業の興隆が背景にあったり、登場人物の仕事がそれらを反映している。

    読み始めは西村賢太の「苦役列車」を連想させる肉体労働的な描写が多いが、千夏と結ばれるところなどは解説者も言っているが意外に爽やかだったりする。むしろ西村健太よりも好きかも。
    しかし、特に第二部に入ってから千夏が男にとって「都合のいい女」に見えてきてがっかりした頃に達夫はちゃっかり山師の松本の元妻(これもまたさっぱりしすぎの「都合のいい一夜限りの相手」)とウワキしちゃって、あーあー、と思ったところで話が終わった。これ、もっと長かったらがっかり来てたかも。

    全体的に古い。この設定や時代のどこを切り取って映像にしたのだろうか?大幅に変えているんだろうな。
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