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英子の森
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    主人公の英子は翻訳の仕事をしたいと思いつつ、その階段に足をかけられず、一歩手前で英語を使う派遣の仕事をしているアラサー。



    母と二人で住む家は森の中にある。仕事の時だけ電車に乗って有楽町や銀座などの東京都内にやってくる。このファンタジー設定が理解できずに引っかかってしまう人が案外いるようだが、それはもったいない。もしファンタジーが苦手なら、森は例えばゴルフ場跡地のようなところにあるだと思ってほしい。都心までバスと電車を使えば出られるところにあり、数だって一つのゴルフ場で50ぐらいはできるから、英語を使って仕事をする人が、それぞれの森の中にある家に住んでいてもオッケー。

    そんなことよりも、もっとしっかり見てほしい所がある。

    「英語ができると言ったって、それぞれ千差万別であることを彼女は知らない。英語を知らない人は、英語がちょっとでもできる人だとすぐもう英語ができる人だと思う。どれぐらいの程度で英語のできる人なのかを見分けることができない。」(P.56)
    これはまさにその通りで、だからこそ私たちノンネイティブは何十年英語圏に身を置いていても、常に知らない単語に巡り合うので、研鑽し続けなければいけない。それが非ネイティブの辛いところだ。
    逆に言えば、日本語ができる人だって、それぞれ千差万別であって、挨拶ができればもう喋れると思う人、日本語で新聞を読み、メールを打ち、寝言を言うような人でも本人の自覚している必要性を満たしていなければ、まだまだだと思う人、どちらも「日本語ができる」だが、「どのように」できるかが違う。

    そして英語教育産業の闇。これは、以前、イギリスで数カ月語学学校に通った人が日本で幼児向け英語教室の先生になったが、本のようにどんどん対象年齢が下がり、日本語もままならない子供に教えることになったので辞めたという私の聞いた話と似ている。きっと日本の社会は当時から何も変わっていないのだろう。

    「それお守りじゃなくて呪いよ。私の言葉を呪いにしないで」
    「言葉が呪いになる」とは「逃げるは恥だが役に立つ」を思い出す。

     あー、この箱はすごい!ちなみにそのセリフは9巻。

    呪いの呪縛を解き放ち、自分の森を構える英子。
    頑張れ、と応援せずにはいられない。それは英子だけではなく、彼女と同じようにもがいているすべての登場人物に対して感じる、母のような、教師のような温かい気持ち。
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